【腰痛完全ガイド】市川市妙典・行徳地域でお悩みのあなたへ

腰痛は国民生活基礎調査によると、男性1位、女性は肩こりについで第2位となる自覚症状となっていてアメリカでも第5位になっています。
このブログは日本整形外科学会/日本腰痛学会が監修している腰痛診療ガイドライン2012を参考文献に用いてブログを書いています。
腰痛は何処に行ったらいいのかわからない方はこちらをご覧になってください。
腰痛は何科に行く?病院に受診する7つのポイント解説
腰痛の定義

腰痛の定義で確立したものはないですが、具体的には肋骨の最下端(第12肋骨)とお尻の溝の間に起こるものが一般的とされています。
発症から4週未満の腰痛を『急性腰痛:ぎっくり腰など』、発症から3カ月以上経過している腰痛を『慢性腰痛』とされています。
腰痛の明らかな原因がわかるものは『特異的腰痛』、明らかでないものを『非特異的腰痛』と分類されて、画像上の所見と必ずしも症状が一致するとは言えないので、腰痛の中の85%は正確な鑑別を行うことは困難とされています。
腰痛の分類
腰痛の原因別分類は以下のようにわけられます。
脊椎由来
- 腰椎椎間板ヘルニア
- 腰部脊柱管狭窄症
- 分離性脊椎すべり症
- 変性脊椎すべり症
- 代謝性疾患(骨粗鬆症、骨軟化症など)
- 脊椎腫瘍(原発性・転移性腫瘍など)
- 脊椎感染症(可能性脊椎炎・脊椎カリエスなど)
- 脊椎外傷(骨折など)
- 筋筋膜性腰痛
- 腰椎椎間板症
- 脊柱靭帯骨化症
- 脊柱変形など
神経由来
- 脊髄腫瘍、馬尾腫瘍など
内臓由来
- 腎尿路系疾患(腎結石、尿路結石、腎盂腎炎など)
- 婦人科系疾患(子宮内膜症など)、妊娠
- その他(腹腔内病変、後腹膜病変など)
血管由来
- 腹部大動脈瘤
- 解離性大動脈瘤
心因性
- うつ病
- ヒステリー
このように分類されていますが、明らかな原因の無い腰痛(非特異的腰痛)は脊椎変性所見(レントゲンでわかるもの)と必ずしも一致しないことがわかっているので、腫瘍、感染症、外傷による脊椎疾患・神経症状を伴う脊椎疾患を鑑別することが大切となってきます。
職業別腰痛有訴率
職場による腰痛発生率は、国内の疫学調査によると40~50%とされており、既往歴がある腰痛の方は70~80%と多いです。さらに1000人を対象として職業別腰痛有訴率を見ると
- 事務42~49%
- 看護46~65%
- 介護63%
- 技能職39%
- 保安42%
- 運輸71~74%
- 清掃69%
- 建設29%
と報告されており、身体への負担が大きくなる重労働の職業であれば腰痛発症の原因となることは多くの論文でも言われています。
腰痛は生活習慣と関係ある?

特に腰痛の原因となりやすい報告は
- 運動不足
- 喫煙
この2つです。
運動不足に関しては、体幹筋力というよりも運動習慣があるのか・ないのかが重要となっているので運動の習慣を身につけることが必要です。
また、喫煙に関しては5781例のコホート研究から中程度から重度の腰痛発症危険因子とされる研究結果が出ています。
体重は?と気になる方もいらっしゃると思いますが、原因と発表する論文は少なく食事に関しても同じことが言えます。
ただし、血清脂肪が高い数値の場合、下肢へ放散する腰痛の危険因子であるという研究結果も出ています。
また、マットレスに関しては容つに対して硬性マットレスよりも中高度のウォーターベッドや体幹適合型マットレスが有用ともされています。
腰痛は心理社会的因子と関係あるの?
心理社会的要因が腰痛を発症させたりする論文は非常に多いです。主な腰痛の予後不良因子として
- 年齢
- 下肢痛以外に腰痛の既往
- うつ状態
- 仕事上の問題
- 仕事上の不満
があるとされています。さらにうつ状態の場合では腰痛との関連性が非常に高く、高齢者の場合(70歳以上)は身体機能低下の危険因子となる報告もあります。
腰痛の経過は?
腰痛の種類や治療法の一貫性がないものの、急性腰痛は発症後1カ月で急速に改善するが、約60%の方は1年後にも発症するという研究結果も出ています。ただし、平均年齢が70歳を超えるものなので年齢別に変化してくるかもしれません。
腰痛になった場合に休職した場合は発症後3カ月までに腰痛の改善があるとされ、12ヶ月の期間で66~84%の患者さんは腰痛を再発した経験があるという研究結果も出ています。
また、長期休業に影響を及ぼす要因として心理的要因、喫煙、重労働、小規模事業所が関与するともされています。
腰痛の診断

一番重要な部分は初診時の『問診(カウンセリング)』と『検査』です。ここでこの腰痛は危険なものなのか?そうでないものなのかで順序が変わってきます。
危険な腰痛は腫瘍、炎症、骨折といった重篤な脊椎疾患が疑われる腰痛のことで画像検査や血液検査を行って疾患の特定をする検査を行います。
また、腰痛患者に対して画像検査を必ずしも必要としないとも書かれているので、危険性があるのか?ないのか?この部分を見極めることが重要です。
MRI検査は神経症状が持続的にある腰痛の場合に推奨されています。
主な検査法は以下の通りです。
単純X線(レントゲン)
ほとんどの整形外科(病院)では腰痛患者の初診時にレントゲン撮影をすることが一般的な流れです。ですが、危険性が無いものに対しては腰椎単純X線写真を撮影するというのは推奨されていませんん。
ただし、危険性があるのか?ないのか?を判断するためにもレントゲン撮影は意味ある所見ともされています。
MRI・CT
MRI・CTはレントゲン撮影よりも感染症やガンの診断に優れているので、危険性が高いと判断されたものに対しては非常に効果的です。ただし非特異的腰痛のような原因が明らかではない腰痛の場合、早期の画像検査としては推奨されていない為レントゲン撮影→MRI・CTという流れにすぐにはなりません。
骨スキャン
特にがんの転移の検出においてMRIよりも優れているという研究結果が出ています。ただし、腰痛に対しての有効性は認められていないので、命の危険性があるような悪性腫瘍が疑われる場合はいいかもしれません。
椎間板造影・椎間板内注射
特に椎間板の原因となる腰痛の診断法として一般的に用いられています。しかしこの検査は画像での判断よりも椎間板内への注射による痛みを誘発させるテストとして用いることが非常に大きいものとされています。
しかし、椎間板造影については慢性腰痛の原因を特定できるような信頼はないとされています。
椎間関節注射
最近では、椎間関節が原因となる腰痛のある152例を2年間にわたって追跡調査をした結果、2回の注射を行った場合有効であり、注射で80%以上の方が痛みが軽快した場合に、2年後に89.5%の症例で、椎間関節による腰痛の診断が可能であったとされています。
椎間関節が原因による腰痛に関しては短期的・長期的に中程度の科学的根拠があるとされています。
神経根ブロック
主に神経根症状を伴う腰痛に対して利用される方法となりますが、画像所見では分からない「非特異的腰痛」に対して行われることは少ないです。
とある研究結果では、根性疼痛を伴う脊椎由来の痛みの診断に神経根ブロックの有効性は中程度の科学的根拠があるとされています。
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筋電図検査
筋電図の検査は腰痛患者の筋骨格系の機能を評価する検査法の1つとされています。とある研究蹴下では、表面筋電図測定で腰部脊柱管狭窄症などの多椎間レベルの障害をもった患者評価に対して有効な検査とされています。ただし、慢性腰痛を抱えている動作異常がある場合には臨床的な腰痛診断には使用できないとされているので、現時点では非特異的腰痛のような画像でわからない腰痛に対して推奨できるレベルではないとされています。
腰痛の治し方

腰痛の治療法は沢山あるのですが、「腰痛は安静にしてはいけない」という事実をご存じですか?
多くの場合腰痛を感じたら総合病院や整形外科を受診すると思いますが、「安静にして下さい」とアドバイスされたから家で動かずに寝ていれば良くなるんだと思われている方が多くいらっしゃいますが、実は間違っているのです。
これは日本整形外科学会・日本腰痛学会監修の「腰痛診療ガイドライン」にも記載されています。
今までは病院や整形外科では腰痛になったらまず「家で安静」にすることを推奨していたのですが、2003年に発表された研究結果によると、腰痛を発症してから4週間以内の人がベッドなどで家で安静にしている人よりも、腰の痛みをかばいながらも通常の生活をしていた人の方が痛みが無くなるスピードやその後の経過も順調だったという研究結果が発表されました。
また、ぎっくり腰のような場合は仕事を休んでしまうケースもあると思います。このことにも研究が行われ、「休む期間が長ければ長いほど、痛みが取れにくく職場復帰する日が長くなる」と示されています。
以上の研究結果から、今後は痛みがあっても通常に近い生活を送ることが大事となってきます。しかし、無理をするということではありません。
腰痛にも原因は沢山ありますが、ぎっくり腰で例えるなら筋肉のケガ(肉離れ)なのです。そんな中無理して動かしたらどうでしょうか?痛みが引くどころか酷くなりそうな予想はつきますよね?
また、筋肉の組織が完全に回復するまでにはおよそ2~3週間かかると言われているので痛みが引いたとしても、腰をかばって生活をしなければいけません。
この時期を大切にしなければ2~3ヶ月後にまた腰痛を繰り返してしまうということがあります。それは、腰痛の程度によっても変わってきますが、腰痛を発症後1ヶ月で急速に改善はしますが、約6割の方が12ヶ月後に腰痛を発症するという研究結果も出ています。
腰が痛い時には痛み止めや湿布といった薬物療法に頼りながら、なるべく休み過ぎないことが重要です。
腰痛の筋トレ

腰痛を予防する為の筋トレは非常に有効的です。特に腰痛を予防する為には「多裂筋」「腹横筋」「腸腰筋」と呼ばれる3つの筋肉を鍛えることによって骨盤から背骨を支えている部分を安定させることが出来るので非常に効果的です。
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腰痛のストレッチ

腰痛の場合は運動療法が有効的とされていますが、比較的日常に取り入れやすいケアの1つがストレッチとなります。ストレッチの場合は筋肉を正常な位置に戻す役割があるので比較的簡単に出来るものになります。オフィスや自宅といった場面では合間にストレッチを入れると非常に効果的なので是非試してみましょう。
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腰痛の治療法
慢性腰痛に対しては「運動療法」が推奨されていますが、アメリカの腰痛診療ガイドラインによると「脊柱マニピュレーション」「鍼治療」「マッサージ」も効果的であることがわかっています。
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まとめ
腰痛の85%は画像での所見は出来ません。特に腰痛に関しては「非特異的腰痛」と呼ばれる腰痛が非常に多いのです。もちろんレントゲンやMRI検査は必要な検査となりますが、その診断が下されたからと言ってほとんどの腰痛が治らないわけではありません。検査は「何が原因で腰痛を引き起こしているのか?」治療は「その原因に対してアプローチ出来るのか?」この部分が合わされば治らない腰痛など無いのです。
まずは何故腰痛になってしまったのか?を考えて適切な検査や治療を受けることが腰痛を軽快させる第一歩となるはずです。

参考文献
日本整形外科学会/日本腰痛学会監修 腰痛診療ガイドライン2012より『腰痛の定義』
日本整形外科学会/日本腰痛学会監修 腰痛診療ガイドライン2012より『腰痛の疫学』
日本整形外科学会/日本腰痛学会監修 腰痛診療ガイドライン2012より『腰痛の診断』