椎間板ヘルニアの症状と主な治療法について解説

公開日:2019/10/09  最終更新日: 2022/09/25


鋭い痛みが急に起こって整形外科に行ったら椎間板ヘルニアと診断された…」このような方は非常に多いのではないでしょうか?特に椎間板ヘルニアの中でも多く現れる部分の1つが「腰椎」です。しかし、首や背中の部分で起こる椎間板ヘルニアも存在しています。そこで今回は椎間板ヘルニアについての症状や治療法をまとめてみました。

・椎間板ヘルニアの症状はどのようなものなのか?
・椎間板ヘルニアの治療法を探している

このような方には非常に有効的な記事となるはずですので、是非ご覧ください。

椎間板ヘルニアの症状

椎間板ヘルニアの症状は大きく分けて以下のようになります。

  • 首肩部分の痛み
  • 腕の痛みやしびれ
  • 頭や顔の痛み
  • 下半身の痛みやしびれ

では詳しく説明していきましょう。

椎間板ヘルニアの症状その1.首肩部分の痛み

椎間板ヘルニアと言っても、痛みが出る場所によって様々な症状が起こってきます。まずは、首肩周りの症状からご説明していきます。

頚椎の後ろの椎間関節(ついかんかんせつ)の動きが悪くなったり、変形することによって首や肩に痛みが出るようになってきます。

  • 筋肉のコリがなかなか取れない
  • なんだかずっと重ダルイ症状だったのに次第に激痛に変わってきた

という事が起こりやすくなります。長時間同じ姿勢でのデスクワークやスマホを操作する姿勢や猫背によって頭の位置が前に出やすい状態で過ごすことが多い人にとっては、このような首や肩にかけての椎間板ヘルニアを引き起こしやすい要因となる可能性が高くなります。

リハビリによる治療を行なうことが多く、首のけん引、電気治療、鍼治療、ストレッチ、矯正、筋力トレーニングなどを組み合わせて、それぞれの症状や年齢、体質に対応した治療を実施します。

椎間板ヘルニアの症状その2.腕の痛みやしびれ

肩から腕・指先にかけて痛みやしびれが起こる症状や、首を後ろに倒したり腕を上げると激痛が走るという場合があります。

頚椎は7つあるのですが、4番目から下の神経根に障害が起こることで引き起こされることもあり、腕のしびれ、痛み、むくみ、手に力が入らない(握力の低下)、背中部分の痛みが主な症状となります。

このような場合は、整形外科でレントゲンやMRIを撮影して精密な検査を受けて現状を把握する必要があります。腕の部分に痛みやしびれがある場合もリハビリによる治療が一般的ですが、痛みやしびれが強い場合はブロック注射を打つという選択肢もあります。

その他にはレーザーの治療もあるのですが、自費診療となるため治療費が高額になってしまう可能性があります。

椎間板ヘルニアの症状その3.頭や顔の痛み

7つの頚椎のうちの1~3番目の神経根が障害されると、首から後頭部や側頭部にかけて痛みが起きることがあります。

  • 目の奥が疲れる
  • 目の奥が痛い
  • コリや痛みが慢性化する
  • めまいや吐き気
  • 気分が勝れなくなる

といった症状も出たりしてきます。リハビリを中心として行う治療ですが、ブロック注射も効果的な治療の1つとされています。さらに血管を広げるような薬を用いて症状を緩和させることも可能です。

椎間板ヘルニアの症状その4.下半身の痛みやしびれ

頚部脊髄(首の脊髄)が圧迫されると、下半身に痛みやしびれが起こります。

  • 足が突っ張るような感覚がある
  • 上手く歩けない
  • 排尿のコントロールが出来ない
  • 筋力低下

といった日常生活に支障が出ることもあります。

下半身は筋肉量も多く、その分体重を支える部分です。腰を動かす事でも痛みが出やすくなり、「椎間板ヘルニア」と診断された方のほとんどは下半身や腰の痛みや症状でお悩みの方が多いと思います。

リハビリを中心とした体のバランスを鍛える必要が大切となります。ですが、「排尿をコントロール出来ない・・・」といった膀胱直膏障害日常生活に影響が出ている場合は手術が必要なこともあるので、適切な診断を受けて治療をするようにしましょう。

椎間板ヘルニアの治療法

椎間板ヘルニアの治療法は以下の通りになります。

  • ブロック注射
  • 薬物療法
  • 理学療法
  • 手術

ここでは主に整形外科での治療法をお伝えしていきます。

椎間板ヘルニアの治療方法その1.ブロック注射

椎間板ヘルニアの治療方法の中でもよく行われるものが、ブロック注射です。特に激しく痛みが出ていたり痺れが強い場合に行われる治療方法ですが、主な作用としては「血流改善」です。ですが、注射をする部位によって歩行が困難な状態になることもあるので、入院が必要となるケースもあります。

ブロック注射は一時的な効果しかないと思われてしまうかもしれませんが、注射する前と比べると症状が緩和されていることも多くあります。ただし、ブロック注射の場合はその分危険性も高まるので、専門的で経験豊富な先生を選ぶ必要があります。

椎間板ヘルニアの治療方法その2.薬物療法

消炎鎮痛剤(被ステロイド性の痛み止め)、筋弛緩薬を使って痛みやしびれを取り除く方法です。筋肉の硬さを取り除くことによって痛みやしびれを和らげたり、痛みを抑えてくれる効果があります。

主に椎間板ヘルニアの治療が始まる初期で用いられることが多く、その後の経過をみてから次の治療へと移っていきます。

消炎鎮痛剤や筋弛緩剤などの椎間板ヘルニアの治療で使用される薬は眠気、だるさ、ふらつきといった副作用が起こることもあるので、服用後はとても注意する必要があります。

椎間板ヘルニアの治療方法その3.理学療法

基本的に理学療法は椎間板ヘルニアの痛みが落ち着いたころに行う治療方法です。また痛みやしびれが再発しないように、筋肉の柔らかさを保つ為の運動や、姿勢や骨盤の矯正を行っていきます。ただし、無理やり動かせばいいというわけではありません。再び症状が再発したり、強い痛みやしびれに繋がる可能性もあるので、理学療法士を始めとする専門的な知識を持った医療従事者に正しいストレッチを教わって行う必要があります。

また、椎間板ヘルニアの方は筋力が低下していることも考えられるので、腹筋や背筋といった姿勢を保つ筋肉を鍛えて体を支えられるように保つ必要があります。年齢や体力に合わせた方法を提案してくれるので、無理やり行うのではなく、出来る範囲でのアドバイスをもらうようにしましょう。

椎間板ヘルニアの治療方法その4.手術

薬物療法やブロック注射、理学療法を行っても痛みやしびれが改善せずに、何度も症状を繰り返してしまう場合は手術が必要になることがあります。

手術が必要となる場合は以下の通りです。

  • 膀胱直腸障害がみられる(おしっこの出が悪い・便が出にくいなど)
  • 日常生活も困難な状態が続いている
  • 明らかな筋力低下がみられる(転びやすくなったなど)

このような症状が出ている場合は手術が必要となるケースです。

最近では椎間板ヘルニアの治療は保存療法が一般的です。椎間板ヘルニアの9割の場合が3~6ヶ月で自然治癒されるといった報告もあります。ですから、手術に至るまでのケースは少ないです。

ヘルニアで手術が必要な3つの症状について腰痛専門の整体師が解説

椎間板ヘルニアの対策

椎間板ヘルニアの治療方法は保存療法が一般的です。治療後も以前と変わらない生活を続けていると再発する可能性が高くなります。

  • 筋肉を硬くさせない
  • 無理に重いものを持たない
  • 長時間の同じ姿勢を続けない

といった対策が必要となってきます。少しでも違和感や痛みを感じたら医師の診断のもと、適切な治療方法を行っていきましょう。

椎間板ヘルニアについての対処法はこちらをご覧ください。

【椎間板ヘルニア・坐骨神経痛】自分で出来る5つの対処法を徹底解説

まとめ

椎間板ヘルニアでは以下のような症状が出ます。

  • 首肩の痛み
  • 腕の痛みやしびれ
  • 頭や顔の痛み
  • 足の痛みやしびれ

このような症状に対して

  • ブロック注射
  • 薬物療法
  • 理学療法
  • 手術

で治療を進めていきます。基本的には保存治療がメインとなるのでまずは病院で検査を受けて適切な治療を続けることで症状が軽快するはずです。また、椎間板ヘルニアの保存療法の場合はヘルニアを取り除くのではなく痛みやしびれの症状を軽快させるために行ないます。

参考文献

腰椎椎間板ヘルニア 診療ガイドライン