坐骨神経痛の入院治療は?手術のリスクや期間と費用について解説
「お尻から足に痛みやしびれが出ていて手術をすれば治るのであれば検討したい」
「もし坐骨神経痛の手術をしなければいけない場合のリスクや費用について知っておきたい」
今回のブログではこのような悩みを抱えているあなたに向けて書きました。
坐骨神経痛は手術で治らない?手術のリスク、入院期間や費用について
手術と聞くと一歩踏み出せなくなることはありますよね?それは当然で100%成功する手術は存在していないからです。特に椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症に合併して症状をきたす坐骨神経痛ですが、手術をすれば治るのでしょうか?ここでは坐骨神経痛の手術でのリスクや入院期間、費用を簡単にご紹介していきます。
こんな坐骨神経痛は手術で治らない
坐骨神経痛で手術を行う場合には、神経その物を治療するのではないということです。坐骨神経に対してストレスを与えている原因を除去する為に行うので、神経自体が機能を失った状態の場合は手術をしても回復は望めません。
さらに、画像上で坐骨神経を圧迫しているヘルニアが存在していたとしても無症状のこともあることが分かっています。ある2,000件以上の脊椎手術の経験を持つ医師は「治らない坐骨神経痛を手術するのではなく、治るものを手術する」と答えています。
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坐骨神経痛の手術リスク
手術となった場合は当然リスクも伴います。確率的に高くはないかもしれませんが、以下の事が起こる可能性もあることを頭に入れておきましょう。
近畿大学医学部 脳神経外科インフォームドコンセントより引用https://www.med.kindai.ac.jp/nouge/disease/informed/5/2.html
1)手術中、手術後の出血
まれに手術後に血の固まり(血腫)ができて、新たに脊髄神経の圧迫症状が出現することもあります。このときは、血腫除去の手術が必要なこともあります。2)脊髄・神経根損傷
手術中に脊髄や神経根あるいはそれを栄養する血管を損傷し、その結果、脊髄や神経根の障害を生じる可能性があります。また、手術後に一過性に脊髄の浮腫などにより脊髄症状の悪化をみることがあります。3)髄液漏
まれですが、手術の操作で硬膜という脊髄を被っている膜を切開してしまう場合があります。このようなとき、術後に脊髄液が皮膚の下に貯留することがあります。また、最悪の場合は細菌性髄膜炎などの重篤な合併症を起こすこともあります。4)脊椎変形、不安定性
脊椎は体を支える支柱の役割を担っていますので、この操作により脊椎の変形や不安定性を生じることがあります。手術後の脊椎変形や不安定性を予防するため必要なときは、特殊な固定器具を長期間必要とすることがあります。6)褥創
手術時間が長くなり同じ体位をとり続けると、手術台などの器具に接触している手足、体部、頭部などに褥創を生じることがあります。7)感染
生体は皮膚、粘膜などに被われ外からの微生物の侵入を防いでいます。手術により硬膜、皮下組織などを露出します。我々は無菌手術を心がけていますが、手術の際微生物の侵入を100%ゼロにすることは現在の医学水準からは困難です。従って、術中、術後にわたりこうした微生物を殺す薬剤すなわち抗生物質を投与します。多くの患者さんではこうした治療により術後感染の問題は生じませんが、患者さんの抵抗力が弱かったり、抗生剤の効き目が悪かったりすると術後、細菌性髄膜炎、脊髄膿瘍、皮下膿瘍などの感染性合併症を生じる可能性があります。8)麻酔、輸血、薬剤などによるショック、肝炎の感染の危険性。手術のためには麻酔薬、抗生物質をはじめ様々な多くの薬剤を使用します。これらの薬剤は高い安全性が確立されていますが、人によっては使用した薬剤に対し過敏な反応ショック(薬剤アレルギー)や予想しえない副作用を生じることがあります。
手術時、皮膚切開などからの出血をできるだけ少なくすることを心がけますが、出血量が多くなると輸血をする必要があります。輸血用の血液は病院で用意します。これらの血液はすべてB型肝炎ウィルス、C型肝炎ウィルス、エイズウィルス、梅毒の検査がすべて陰性のものです。しかし、これらの検査は100%完全ではなく希に輸血によりこれらの感染症にかかることがあります。9)糖尿病、高血圧、肺気腫、胃潰瘍、パーキンソン病、内分泌疾患、精神疾患など様々なこれまで顕在化していなかった疾患が手術を契機として発症することがあります。また患者さんがこれまで既往疾患として持っておられる病気がより重くなることもあります。
10)その他予想外の合併症
稀ですが、こうした合併症が発生する可能性は否定できません。我々は厳重な術中、術後管理にて合併症の発生を防止するよう努力しますが、残念ながら予想できない事態が起こって合併症を生じることがあります。これらの合併症を生じ、最悪の場合は死亡したり、重い神経後遺症を生じる可能性もあります。
また、手術が必ずしも成功するとは限らないので、坐骨神経痛が再発することも考えれます。
坐骨神経痛の手術で入院する期間は?
「根性坐骨神経痛の保存的療法について」には入院治療を行なった坐骨神経痛を抱えた症例114例のうち手術治療を行なったのは23例(16%)、手術的治療群の平均入院期間は103日と記されています。
しかし、保存治療の内容や症状によっては変動してくるので手術を行う医療機関に直接聞いてみるのも1つです。
坐骨神経痛の手術費用
腰痛症、坐骨神経痛の統計データ価格.comによると自己負担額の総額は
3割負担の窓口支払い総額めやす¥183,800-となっており、高額医療費制度が適応となった場合¥83,600-(一般所得・70才未満)となっています。
あくまで平均的な目安となるので、手術を行う場合には専門の病院に直接問い合わせするか受診して聞いてみることが一番確かな情報になります。
まとめ
坐骨神経痛の原因ともなる椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症は必ずしも手術が必要ではないことが分かっています。しかし中には手術が適応となる坐骨神経痛が存在することも事実です。このブログをご覧いただくと手術がいかに大変な事か分かると思いますが、手術よりも大事なことは「原因を見つける事」です。様々な治療法がありますが、方法よりも原因を見つけ出すことが一番重要なのです。
事実、当院には足を引きずって来院されて原因がわかったら帰りにはゆっくりではありますが通常通り歩いて帰られる方も多くいらっしゃいます。焦って手術の効果を得られないよりは、じっくり色々な原因を確認するのもいいのではないでしょうか?
参考文献