電気が走る腰痛で考えられる強烈な痛みの正体3選
「朝起きた時に腰に電気が走るような痛みを感じたけれど可能性があるのかを知りたい」
「電気が走るような痛みは初めてで、何が考えられるのかを調べたい」
今回はこのような悩みを抱えているあなたに向けて記事を書きました。
強烈な腰の痛みを襲う3つの考えられること
腰の部分に電気が走るような痛みを感じた場合には、3つのことが考えられます。
- 内臓の病気
- 腰椎の変形(椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症など)
- 筋肉、関節の異常
この3つです。ではどのような時に当てはまるのかを見ていきましょう。
電気が走る腰痛① 内臓系の疾患
内臓系の疾患が原因となる場合は、姿勢とは無関係に痛みが出ることがあります。
急に腰痛を感じて電気が走るような症状の場合は下記のような内臓の病気による腰痛の可能性もあります。
尿路結石
腎臓で作られた小さな石が尿管につまってしまい起こる病気です。特に若い男性に多く診られ、深夜または早朝に左右のどちらかの腰や背中に鋭い痛みが出ることが特徴です。強い鎮痛剤を使用することで痛みが治まることが多いのですが、一端治まってしまうと何事もなかったかのように良くなってしまうこともあります。
腎盂腎炎
腎臓の細菌感染症の1つで、若い女性や高齢者の方に多く現れます。高熱と左右の腰や背中に鈍痛の様な痛みが出ることが特徴です。
病院で血液や尿検査を行って診断を行い、軽症であれば抗生物質で治療をすることが多いですが、重症の場合は救急病院に行くことをオススメします。
急性胃炎・胃十二指腸潰瘍
多くの場合はみぞおち付近に痛みが出るのですが、場合によっては背中や左の横腹に痛みが出ることがあります。この場合は、食事によって痛みが変化するというところが特徴的です。
空腹時の痛みであれば胃の下部や十二指腸が原因で痛みが起こり、食事直後では胃の上部の病気が考えられます。
また、胃がんなどの場合も考えられるので、一度詳しい検査をオススメします。
急性膵炎
胆石などの胆管の病気によって起こる病気でお酒の飲み過ぎなどで膵臓に炎症が生じている病気になります。脂っこい食事の後にお酒を大量に飲み、左上腹部や背中に鋭い痛みが現れて長時間続きます。特徴として仰向けで寝ることで痛みが強くなり、被さを抱えるような姿勢(背中を丸める)になると軽快します。
重症化する前に早めの治療が必要となります。
大動脈解離
大動脈の壁が避ける病気で、突然胸や背中に強烈な痛みが起こります。裂け目が広がるにつれて痛みがお腹や腰まで広がることもあります。
このような場合は命の危険性もあるため大至急救急病院に行きましょう。
腹部大動脈瘤
ほとんどの場合は無症状なのですが、大動脈の壁の一部にコブのように膨らむ病気です。このコブの部分が破裂すると、突然腰やおへその周りに強烈な痛みが現れます。
この場合も至急救急病院へ行きましょう。
化膿性脊椎炎
背骨に細菌が感染してしまう病気です。特に転んだりぶつけたりしたわけでもなく、発熱と共に日に日に腰痛が強くなることが特徴的です。起き上がる動作だけではなく、じっとしていても激しい痛みが出ることがあります。
化膿性脊椎炎の場合はCT検査では異常が見つからないこともあります。MRI検査によって見つけ出すことが出来るので両方の検査が行えると理想です。
ガンの骨転移
癌によって蝕まれた骨は骨を破壊して病的骨折にもなりやすくなります。さらに日に日に痛みが強くなり、動かずじっとしていても痛みが持続することが特徴的です。
場合によってはガンや骨折によって脊髄が圧迫され下肢の麻痺や膀胱直腸障害(尿や便が出ない・出にくい)が現れることがあるので、早期の診断治療が必要となります。
電気が走る腰痛② 腰椎の変形
腰椎の変形が原因の場合は「椎間板ヘルニア」「腰部脊柱管狭窄症」「変形性腰椎症」「腰椎分離症・すべり症」といったことが考えられます。
椎間板ヘルニア
腰椎には骨と骨の間に椎間板というクッションがあるのですが、何らかの影響によってこの椎間板が外に飛び出してしまい神経を圧迫させて腰痛や足のしびれ(坐骨神経痛)を引き起こす病気です。
腰の骨は5つあるのですが、4番目と5番目の腰骨の間か腰椎と仙骨の間が1番ヘルニアが起こりやすいとされています。それだけ腰椎の下部には負担がかかりやすいということです。
特徴として前屈みになるような動作(物を拾う時、長時間座っている姿勢)の時に悪化しやすく、咳やくしゃみによって電気が走るような激痛が出ることもあります。
そんな椎間板ヘルニアですが、約9割は半年で自然治癒してくることが最近ではわかってきました。痛みの強い時期は痛み止めやブロック注射を行い、マッサージや鍼治療を併用して行うのが一般的です。
但し、膀胱直腸障害(尿や便が出ない・出にくい)や何もない所でつまずいてしまう明らかな筋力低下が見られる場合は手術を検討する場合もあります。
腰部脊柱管狭窄症
脊柱管という管の部分には脊髄や神経が通っているのですが、腰の骨が変形して脊柱管が狭くなってしまう病気です。
特徴的な症状として「間欠性跛行」と言われるものがあり、歩いている最中に坐骨神経痛(お尻から足の痛みやしびれ)が現れて歩けなくなってしまいますが、座ったり前屈みになることでまた歩けるようになります。また、腰を反らす様な動作をすると悪化しやすくなります。
前かがみになると楽になるので歩行が辛い方は自転車や手押し車を使用していると症状が現れないことがあります。
治療法としては椎間板ヘルニアと同様で、痛みの強い時期は痛み止めやブロック注射を行い、マッサージや鍼治療を併用して行うのが一般的です。
歩行が困難な状態や膀胱直腸障害(尿や便が出ない・出にくい)が診られる場合は、手術を検討する場合があります。
変形性腰椎症
腰椎が変形することによって、神経を圧迫してしまい腰痛や足のしびれ(坐骨神経痛)を引き起こします。特に長時間同じ姿勢を続けている場合や、スポーツなどで過度な負担が腰に掛かる場合に多く診られます。病院での検査では「加齢によるもの」と言われる代表的な病気の1つです。また、変形性腰椎症が進行すると脊柱管狭窄症へ移行することもあります。
しかし、アメリカの腰痛学会では変形性腰椎症は腰痛の原因とは言えないという発表をされています。
腰椎分離症・すべり症
腰椎分離症・すべり症の場合の多くは若年層に多く診られます。特にジャンプや腰を回旋する動作を繰り返し行う競技(バレーボール・バスケットボール・野球・テニスなど)で腰椎後部に亀裂が入ってしまう疾患です。なので1回の動作で起こるわけではありません。
この場合腰痛とお尻や太ももの痛み(坐骨神経痛)が出る場合がありますが、多くの場合は腰を反らす時に強く症状が出ることが特徴です。この腰椎分離症が原因となり重症化してくると分離すべり症へ進行する恐れがあります。
主に蓄積疲労や練習の繰り返しによって起きてくるものなので、安静や適切な治療が必要となります。
電気が走る腰痛③ 筋肉・関節の異常
筋肉や関節の異常はレントゲンやMRIといった画像診断では見つかりません。筋肉や関節が原因となって腰に電気が走るような症状が出た場合は「ぎっくり腰:急性腰痛症」「仙腸関節炎」「腰椎・腰仙椎椎間関節炎」「筋筋膜性腰痛症」が考えれます。
ぎっくり腰:急性腰痛症
突然激しい痛みに襲われる「ぎっくり腰」ですが、医学的には「急性腰痛」と言います。
ぎっくり腰の場合、レントゲンやMRIの画像検査を行ってもほとんどの場合は原因がみつかりません。多くの場合は筋肉や関節部分が原因として考えられますが、「前かがみ」や「物を持ち上げた時」などに起こることが多いです。
ですが、きっかけはこのような動作によって起こるのですが、筋肉の疲労や硬さが原因となって起こることが多いので、症状が急に現れたと自覚することがあるのです。
多くの場合「腰方形筋」という筋肉に対して鍼治療やマッサージをすることでぎっくり腰が緩和することがあります。
仙腸関節炎
患者さん自身の訴えとして「物を持ち上げた時」「捻り動作をしようとしたとき」「背中に何か感じた」といった表現をされる方が多く居ます。
特に午前中に痛みが強くなり、朝ベッドから起き上がる時や椅子から立ったり座ったりする時に痛みがあることが特徴的です。また運動をすると症状が軽快してきます。
ある特定の動きによって痛みが鋭くなることもあり、咳やくしゃみなどによって痛みが増強することがあります。場合によっては片方のお尻や脚にしびれが出ることもありますが多くはありません。
正しい治療を行なうことで瞬間的に痛みが取れることが多いです。
腰椎・腰仙椎椎間関節炎
特徴として腰部の下や真ん中が痛いと訴えや午前中もしくは休息後に症状が良くなり、午後に痛みが強くなることがあります。
腰を反らす様な動作で痛みが強くなることも考えれます。
重症化している場合はお尻や鼠蹊部、ふくらはぎ、膝の上などに放散痛が起こることがあります。
筋筋膜性腰痛症
整形外科で腰痛症と診断される場合はこの筋筋膜性腰痛症がほとんどです。特徴的な症状としては動作時の腰痛があり、安静になると軽快することが多いです。
腰や背中の筋肉は腰全体を覆っているので、痛みの範囲も骨盤やお尻、背中など様々です。
多くの場合の筋筋膜性腰痛症は、筋肉の疲労や長時間の同じ姿勢などが原因によって起こります。
また、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などの骨由来の疾患によっても二次的に筋膜性腰痛症を起こしていることも考えられます。
筋膜(筋肉)は骨から骨についているので、固まっている筋肉に治療することで関節への負担を軽減させ筋肉の柔軟性を出すことが出来ます。
電気が走る腰痛:まとめ
腰に電気が走るような痛みであれば、重篤な疾患が隠れている場合も考えられますので、まずは病院を受診した方が安全です。病院で特に異常が見つからない場合であれば、筋肉や関節部分のケアは整骨院や整体院が得意としている分野となりますので、一度受診してみてはいかがでしょうか?