腕が痛い場合に考えられる5つの疾患について解説
「肩を上げる時に何だか腕が痛くて動かすことも辛い」
「五十肩・四十肩と診断されたけれど、腕が痛くてこれが何なのかを知りたい」
このブログはこのような悩みを抱えているあなたに向けて記事を書いています。
腕が痛いのは何故?
肩の痛みで特に有名な症状が「肩関節周囲炎」と呼ばれるものになりますが、通称四十肩や五十肩と呼んでいます。特に肩周りに炎症が起きたものを指すので、含まれている疾患も多くなってきます。特に、腕が痛くなると肩ではないので不安になってくる人も多いのではないでしょうか?そこで腕が痛くなるけど、四十肩や五十肩ではない場合にどのような疾患が考えられるのかをお伝えしていきます。
腕が痛い疾患5選
よく四十肩や五十肩と診断されたのに「腕が痛い」と訴える患者さんが多くいらっしゃいます。この場合は以下の事が考えられます。
- 腱板断裂
- 石灰沈着性腱板炎
- 上腕二頭筋長頭腱炎
- 肩関節関節唇損傷
- インピンジメント症候群
この5つが疑われます。
腕が痛い【腱板断裂】
肩の関節は上腕骨と肩甲骨、鎖骨の3つで構成されます。腱板断裂では上腕骨と肩甲骨を繋ぐ腱が切れてしまう事を言います。特に「肩を上げるときに力が入らない、入りにくい」「肩の前面あたりでじりじり音がする」といったことが現れます。
肩を動かす時に痛みを感じることもあれば、痛みを伴わない場合も考えられるので、一度病院でしっかりとした検査を行うことがいいでしょう。
腱板断裂は、40代以上の男性に多く発症して右肩に多く現れるとされていますがはっきりとした原因はわかっていません。ですが、ほとんどの場合は断裂の大きさが当初は小さいので、ケガをした記憶がなかったとしても断裂が始まっている可能性もあります。
腱板断裂を放置し続けると多くの場合、断裂が大きくなり肩の運動障害・運動痛・夜間痛を訴えることが多く、家事や日常生活に支障をきたすほどに症状が酷くなってしまうことがあります。
夜間痛は夜も眠れないくらいの痛みのことで、多くの方がこの夜間痛に悩まされて病院を受診する事が多くなります。ですがほとんどの方は肩を上げることは可能な場合があります。
若年層では野球などによる投球動作を繰り返すことによって腱板断裂を引き起こすことも考えられます。
主に診察では以下の事を検査します。
- 肩が挙げられるのか?
- 拘縮があるか?(拘縮とは関節の動きが狭くなっているのか?)
- 肩を上げた時にジリジリとした音があるか?
- 筋肉の萎縮があるか?
この4つを調べてジリジリと音がしたり、筋肉の萎縮が認められれば腱板断裂を疑います。その他レントゲンやMRIによって診断されることがあります。
また腱板断裂の場合は、初期治療法として手術よりも保存療法(保守的なアプローチ)が推奨されるという研究結果も出ています。
腕が痛い【石灰沈着性腱板炎】
石灰沈着性腱板炎は夜間に突然激痛が走ることが多くなります。肩が痛くて寝ることも出来ずに関節を動かすことも出来なくなります。
基本的には以下の様に分けられます。
- 急性期:1~4週間 (強い症状)
- 亜急性期:1~6ヶ月 (中程度の症状)
- 慢性期:6ヶ月以上続く (運動時の痛み)
特に40~50歳代の女性に多く見られて腱板内に「リン酸カルシウム」の沈着がおこり急に炎症が起きてしまうことで肩の痛みや動きの制限が生じてきます。
この石灰がどんどん溜まって膨らんでくることで痛みを増強させていきます。結果腱板から滑液包という部分に敗れ出てしまい激痛を伴います。
主に診察では以下の事を検査します。
- レントゲン検査
- CT検査
- 超音波検査
- MRI検査
五十肩の症状にとても似ているので、画像検査を行うことが多くあります。CTや超音波検査では石灰沈着の位置や大きさを調べるために行い、MRIは腱板断裂の合併症がないか調べる為に用いられます。
腕が痛い【上腕二頭筋長頭腱炎】
上腕二頭筋とは力こぶの部分です。この上腕二頭筋に炎症が起きて悪化することで上腕二頭筋が急激に縮んでしまい、関節唇という部分を引っ張ってしまい剥離や段脱を引き起こすとされています。
重篤な場合は肩関節の関節唇損傷に至る可能性もあるので十分注意が必要です。
腕が痛い【肩関節関節唇損傷】
肩関節関節唇損傷とは、関節の中にある関節唇(かんせつしん)という軟骨部分が剥がれてしまう病気です。
「なんだか肩が抜けそうな気がする」
「ある角度で強い痛みが出て、音がするときもある」
損傷してしまうと、このような症状がみられることがあります。
腕が痛い【インピンジメント症候群】
インピンジメントとは「衝突」という意味があります。
主に腕を上げる動作や捻るような動作によって「棘上筋:きょくじょうきん」という筋肉が肩甲骨と上腕骨に挟まれることで痛みを生じます。
痛みが酷くなってくると「腱板損傷」を引き起こすこともあるので注意が必要です。
まずは、検査のため整形外科を受診するようにしましょう。
まとめ
今回はこちらの事をお伝えしていきました。
- 腱板断裂
- 石灰沈着性腱板炎
- 上腕二頭筋長頭腱炎
- 肩関節関節唇損傷
- インピンジメント症候群
自分自身で四十肩かな?五十肩かな?と判断してしまうと、上記のような疾患を見落としてしまう可能性も出てきます。まずは検査を受けて、必要であればレントゲンなどの画像検査を受けて原因を特定することも1つです。