椎間板ヘルニアの手術を受ける前に知ってほしい3つのリスクを解説

公開日:2019/09/21  最終更新日: 2019/11/15

椎間板ヘルニアと診断されて手術を勧められたけれど、何だか怖いし何かリスクがあるのであれば知っておきたい

このブログではこのような悩みを抱えているあなたに向けて記事を書きました。

椎間板ヘルニアは手術が必要な例は少数

腰痛の代表的な疾患でもある椎間板ヘルニアですが、腰痛の85%は原因不明と厚生労働省が発表しています。さらに椎間板ヘルニアが原因と判断できるのは5%以下だと言われています。そんな椎間板ヘルニアですが、「すぐに手術をしなければいけない」と思ってしまうと思いますが、本当に手術が必要なケースはごくわずかなのです。

ですからここでは、椎間板ヘルニアの手術をすることによってのリスクについて解説していきます。

椎間板ヘルニアの手術しても痛みが消えないことがある

椎間板ヘルニアの手術をする目的は「神経根の圧迫を取り除く」ことです。神経根そのものが障害を受けていた場合は、麻痺や膀胱直腸障害を併発しやすいです。もしもこのような症状がない腰痛や坐骨神経痛を抱えていて手術をしたとしてもヘルニア部分が原因ではなかった場合は痛みが取れることはありません。

ヘルニアを手術してもしびれが消えないことがある

椎間板ヘルニアの手術をする目的は上記でお伝えした通りですが、しびれも同様です。しびれは痛みと同様で血流障害が主な原因となるので麻痺とは異なります。

神経が切れていたり傷ついている場合には麻痺の症状が現れるため、神経根の圧迫を取り除いたとしても原因が異なるのでしびれは消えません。

むしろ、しびれがなかった人に手術後にしびれを感じるようになったというケースもあります。

ヘルニアの手術は安全なの?

日本脊髄学会も腰椎椎間板ヘルニア手術の安全性と合併症についてこのように延べています。引用ページはこちらから

神経損傷による下肢麻痺、下肢知覚鈍麻、排尿排便障害これらの神経損傷は、腰椎を高速回転のドリルで削除する際やヘルニア塊を摘出する操作の際に生じやすいとされています。

創部感染あるいは椎間板に炎症がみられる術後椎間板炎

神経を包んでいる膜(硬膜)の損傷による脊髄液の漏出、およびこれに引き続き生じる髄膜炎

創部の血腫形成による神経麻痺・下肢痛

腹部の大血管の損傷による術中の大出血

その他の稀な合併症として深部静脈血栓症、肺炎などの感染症などが生じることがあります

また近畿大学医学部脳神経外科でもこのような合併症があると発表しています。引用元はこちらから

1)手術中、手術後の出血
まれに手術後に血の固まり(血腫)ができて、新たに脊髄神経の圧迫症状が出現することもあります。このときは、血腫除去の手術が必要なこともあります。

2)脊髄・神経根損傷
手術中に脊髄や神経根あるいはそれを栄養する血管を損傷し、その結果、脊髄や神経根の障害を生じる可能性があります。また、手術後に一過性に脊髄の浮腫などにより脊髄症状の悪化をみることがあります。

3)髄液漏
まれですが、手術の操作で硬膜という脊髄を被っている膜を切開してしまう場合があります。このようなとき、術後に脊髄液が皮膚の下に貯留することがあります。また、最悪の場合は細菌性髄膜炎などの重篤な合併症を起こすこともあります。

4)脊椎変形、不安定性
脊椎は体を支える支柱の役割を担っていますので、この操作により脊椎の変形や不安定性を生じることがあります。手術後の脊椎変形や不安定性を予防するため必要なときは、特殊な固定器具を長期間必要とすることがあります。

6)褥創
手術時間が長くなり同じ体位をとり続けると、手術台などの器具に接触している手足、体部、頭部などに褥創を生じることがあります。

7)感染
生体は皮膚、粘膜などに被われ外からの微生物の侵入を防いでいます。手術により硬膜、皮下組織などを露出します。我々は無菌手術を心がけていますが、手術の際微生物の侵入を100%ゼロにすることは現在の医学水準からは困難です。従って、術中、術後にわたりこうした微生物を殺す薬剤すなわち抗生物質を投与します。多くの患者さんではこうした治療により術後感染の問題は生じませんが、患者さんの抵抗力が弱かったり、抗生剤の効き目が悪かったりすると術後、細菌性髄膜炎、脊髄膿瘍、皮下膿瘍などの感染性合併症を生じる可能性があります。

8)麻酔、輸血、薬剤などによるショック、肝炎の感染の危険性。手術のためには麻酔薬、抗生物質をはじめ様々な多くの薬剤を使用します。これらの薬剤は高い安全性が確立されていますが、人によっては使用した薬剤に対し過敏な反応ショック(薬剤アレルギー)や予想しえない副作用を生じることがあります。
手術時、皮膚切開などからの出血をできるだけ少なくすることを心がけますが、出血量が多くなると輸血をする必要があります。輸血用の血液は病院で用意します。これらの血液はすべてB型肝炎ウィルス、C型肝炎ウィルス、エイズウィルス、梅毒の検査がすべて陰性のものです。しかし、これらの検査は100%完全ではなく希に輸血によりこれらの感染症にかかることがあります。

9)糖尿病、高血圧、肺気腫、胃潰瘍、パーキンソン病、内分泌疾患、精神疾患など様々なこれまで顕在化していなかった疾患が手術を契機として発症することがあります。また患者さんがこれまで既往疾患として持っておられる病気がより重くなることもあります。

10)その他予想外の合併症
稀ですが、こうした合併症が発生する可能性は否定できません。我々は厳重な術中、術後管理にて合併症の発生を防止するよう努力しますが、残念ながら予想できない事態が起こって合併症を生じることがあります。これらの合併症を生じ、最悪の場合は死亡したり、重い神経後遺症を生じる可能性もあります。

ただし、このようなことが起きることは稀ですが起こる可能性もあることを知ってください!

椎間板ヘルニアの手術でこんな事例も

引用元はこちらから

19歳の女性が腰椎椎間板ヘルニア手術中に血圧が低下して、腹部の膨隆が確認されて、CT画像にて検査をしたところ「左総腸骨動脈損傷」と診断され緊急手術を行いました。左総骨動脈は完全に断裂した状態で人工血管を用いて再建手術が行われました。

特に大きな血管となるので命の危険性もあります。このような症例は非常に稀ではありますが、手術を受ける場合にはリスクも当然ついて回ってくるものなので、事前に確認するようにしましょう。

椎間板ヘルニアの手術リスク:まとめ

手術は必ずしも成功するとは限りません。更に椎間板ヘルニアが原因でなければもちろん痛みやしびれは取れないので、まずは保存治療を続けてそれでも良くならない場合は手術を検討することも大事かもしれません。